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不正競争防止法上の「営業秘密」について その③ 弁護士 森 春輝

(その②の続きです!)

3 差止請求及び損害賠償請求

差止請求や損害賠償請求の対象となる不正な取得・使用・開示行為は,
不正競争防止法において,その要件が細かく定められています
(不正競争防止法第2条第1項第4号~同項第10号)。

営業秘密に該当する情報が不正に取得・使用・開示されることによって
営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者は,
その営業上の利益を侵害し又は侵害するおそれのある者に対し,
その侵害の停止又は予防を請求することができます(不正競争防止法第3条)。

営業秘密にかかる情報を使用してはならないと求めるだけでなく,
当該情報を使用して製造された製品等の廃棄や営業秘密が記録されている
電子データの消去を求めることもできます。

また,故意又は過失により営業秘密を不正取得・使用・開示され
営業上の利益が侵害された場合は,
営業秘密の不正取得等をした者に対して損害賠償請求をすることもできます
(不正競争防止法第4条)。

4 限定提供データの保護

これまで,他社との共有を前提とするデータは,
重要な情報であっても「営業秘密」に該当せず,
不正競争防止法の保護を受けることができませんでした。

そこで,平成30年の不正競争防止法の改正(令和元年7月1日施行)において,
IDやパスワード等により管理しつつ,相手方を限定して提供するなどの要件を満たすデータを
「限定提供データ」として,新たに不正競争防止法の保護対象に含めることとなりました。

限定提供データの具体例としては,以下のようなデータが挙げられます(※7)。

・消費動向データ…消費者データを収集・分析する企業が,
購買データや小売店からのPOSデータを加工したものを各メーカーに提供し,
各メーカーは消費開発や販売戦略等に役立てる。

・車両の走行データ…自動車メーカーが,災害時に車両の走行データを公共機関に提供し,
公共機関は道路状況の把握等に役立てる。

・機械稼動データ…データ分析事業者が,船舶から収集されるリアルデータを
収集・分析・加工したものを造船所,船舶機器メーカー,気象会社,保険会社等に提供し,
提供を受けた事業者は造船技術向上,保守点検,新たなビジネス等に役立てる。

これらの限定提供データも,不正競争防止法に定める不正な取得・利用・開示行為がされてしまった場合には,
差止請求や損害賠償請求をすることができます。

ただし,刑事罰の導入がデータの利活用を萎縮させるおそれが懸念されたため(※8),
営業秘密とは異なり刑事的規制は設けられませんでした。

5 おわりに

価値のある情報については第三者がそれを知らないことが重要である場合も多数あります。
その情報が不正に流出し,不正に使用されてしまうと,
情報保有者である企業にとって大きな損失となってしまいます。

そのような情報が不正に取得・利用・開示された場合に
不正競争防止法に基づいて差止請求や損害賠償請求ができるように,
同法の保護対象となるよう情報を管理していくことが大切です。

秘密情報が不正競争防止法上の営業秘密として保護されるのか
不安があるときはご気軽にご相談ください。

※注釈

※7 経済産業省知的財産政策室「不正競争防止法平成30年改正の概要(限定提供データ,技術的制限手段等)」7頁
※8 前掲「不正競争防止法(第2版)」93頁

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