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弁護士堀鉄平の交渉の奥義!「相手のポジションを見極めよ」その②

(その①の続きです!)

グループごとに応じた戦術の変化

そして、このような「相手のポジションを見極めよ」という技術ですが、
当然、難敵に対する交渉術でも使うことができます。

前述した映画を具体例に検討しましょう。

当初より無罪と主張した一人の陪審員(Xとしましょう)が、
他の陪審員を次々に説得していく姿はとても参考になります。

やみくもに、全員に対して同じ説得・交渉をしかけるのではなく、
上記三分類のグループに分けて戦術を変えているのです。

まずは、偏見が強く議論好きなグループ(Aグループとしましょう)に対しては、
Xは、その偏見を修正してあげる方法をとっています。

目撃者の証言を簡単に信じてしまっているが、
本当にその老人は被告人の逃げ去る姿を目にすることができたのでしょうか?と、
その場で実験までしています。

また、電車が通ったその瞬間に被告人が父親を刺したのを見たという目撃者の証言と、
階下の老人が被告人の叫ぶ声を聴いたという証言の矛盾を指摘し、彼らの論拠を打破しています。

その結果、Aグループの人たちの偏見は徐々に修正され、
最終的に無罪主張に変わっていきました。

Aグループの人に対しては、冤罪だったらどうするんですか?
などと説得してみても、埒があきません。

もとより被告人は有罪だと思っているのですから、
冤罪だとしたら?と交渉してみても、通用しないのです。

他方、偏見の有無はともかく、議論を好まないグループ(Bグループとします)の人に対しては、
Xは、彼らが行動的になるように背中を押す戦術をとっています。

偏見のない人はもとより、Aグループに対する説得を聞いた結果無罪の心証を抱いた人でも、
このグループの人たちはもともと保守的な人たちですので、意見を変えにくいものです。

そこで、Xは、「あなたたちの間違った意見によって、
罪のない少年の命が奪われてしまうんですよ!」と説得します。

Bグループの人にこれ以上無罪の証拠を説明してもだめです。
それは何となくわかっていても、行動できない人たちなのです。

偏見がなく、議論好きなグループ(Cグループ)に対しては、
特別な交渉を仕掛けなくても自然と上手くいくことは言うまでもありません。

営業マンも、やみくもに見込み客を説得する人は成績が悪いものです。

相手が自社商品に偏見を持っているために購入しないのか、
行動力がないために購入に踏み切れないのかを見極められる人は優秀です。

前者のタイプ(良いとわかったらすぐ買う人)に対しては、
商品の素晴らしさを示し(効能を数字で見せるなどすると効果的です)、
後者のタイプ(良いとわかっても今度でよいと思う人)に対しては、
「いま買わないと売り切れる」と背中を押してみると確度が高まります。

それでは、今回はこのあたりで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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