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「従業員のSNS炎上対策」その1 弁護士 森 春輝

1 SNS炎上の影響

数年前より,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)において,
飲食店の従業員がゴミ箱に入れた食材をまな板に戻した,
コンビニ店員がふざけてアイスケースに入った,
などの写真・動画を投稿した結果「炎上」してしまい,
会社が謝罪に追い込まれる事例が多発しています。

TwitterやFacebookに代表されるSNSは,
インターネット上のコミュニケーションツールとして急速な広がりを見せています。
しかし,SNSの投稿は短期間で不特定多数に拡散され,
一旦拡散してしまうと削除することは困難です。

SNSでひとたび炎上が発生してしまうと,
企業イメージに甚大な影響が生じてしまいます。

そして,会社の信用を失うことによって売上が減少し,
企業に大きな損害が生ずる可能性もあります。
そこで,今回は,従業員のSNS炎上を未然に防ぎ,
企業の信頼とブランドイメージを守るために,
会社としてどのような手段を取るべきであるか説明していきます。

2 SNS炎上の類型

SNSが炎上する原因としては,以下のような類型が考えられます (※1)。

① 悪ノリ型…飲食店で従業員が食品を不衛生に取り扱ったり,
冷蔵庫の中に入ったりするようなふざけた写真や動画を投稿する類型

② 個人情報漏えい型…ホテルや飲食店に有名人が来店したことなどを従業員がSNSに投稿する類型

③ 機密情報漏えい型…企業の新製品に関する情報等営業秘密に関する情報を投稿する類型

④ 会社批判型…会社や上司,自社製品等に対する批判や誹謗中傷を投稿する類型

⑤ 告発型…会社の違法行為や不適切な行為を内部通報する趣旨で投稿する類型

⑥ 誤投稿型…企業の公式アカウントにおいて,
個人のアカウントに投稿しようとしていた内容を公式アカウントに誤って投稿してしまう類型

⑦ 想定外型・・・差別的な意図や侮辱的な意図なく投稿したものが,
想定外に差別的・侮辱的であると批判されてしまう類型

従業員の個人アカウントで問題となりやすいのは上記①~⑤の類型です。
なお,企業の公式アカウントで問題となりやすいのは①,⑥及び⑦の類型です (※2)。

※1)小山博章編著「SNS公式アカウント管理者のための企業の信頼失墜を防ぐ法的リスク・炎上対策」
(2019・第一法規)12頁~13頁による分類

※2)小山博章編著「SNS公式アカウント管理者のための企業の信頼失墜を防ぐ法的リスク・炎上対策」
(2019・第一法規)13頁

3 SNS炎上の従業員に対する影響

従業員がSNSを炎上させてしまうと,
その従業員自身にも大きな影響が生ずるおそれがあります。

炎上した投稿の内容によっては,
店舗のクリーニング代や食材の再調達費用などSNS炎上によって会社が支出した費用や,
店舗を休業させた場合の休業損害,状況によっては減少した売上について,
会社から損害賠償請求をされることもありえます。

また,SNS投稿の内容が懲戒事由に該当していれば懲戒処分を受けることも考えられます。

通常,従業員は入社時に守秘義務契約書又は誓約書を作成していることが多いと思われます。
また,これらの書面がなくても,就業規則には秘密保持義務が定められており,
また,会社の秘密を漏らした場合や会社の信用に傷をつけた場合に懲戒事由となる旨の定めがあるはずです。

しかし,従業員は秘密保持契約書や誓約書について,
入社時の形式的な書面のやり取りであるという程度にとらえ,
その内容を重要なものと認識していないことも多いでしょう。

就業規則についても,その存在は知っていても
実際にどのような定めがあるか把握していない従業員は多いと思います。
SNSを炎上させて損害賠償や懲戒処分を受ける可能性があっても,
ばれなければ問題ない,そこまで大事にはならない,
自分には関係がないなどと真剣に考えていないこともあるでしょう。

SNS利用のリスクへの対策として,
上記の通り秘密保持契約書や誓約書を作成したり,
就業規則の規定を充実させることは当然ですが,
従業員がその内容を真剣に認識しなければ意味がありません。

ですから,SNSの使い方を間違えると,
会社にも従業員自身にも大きな損害が発生する可能性があることを従業員に周知させるべく,
従業員がSNSを利用する際のルールや心構えを定めた
SNSポリシーやガイドライン(以下「SNSポリシー等」といいます。)を策定し,
公開することが有用です。
そのうえで,SNS利用についての従業員教育に取り組むことが求められます。

 

(その2に続きます!)

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