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弁護士堀鉄平の交渉の奥義!勝利への必殺技「証拠固め」その②

(その①の続きです!)

交渉前から始まる証拠の収集戦

ところで、このような証拠固めは、争いが勃発した後になって慌てて収集を開始するのではなく、
実は、交渉が始まる前から準備しておくものなのです。

かつて、顧問先である飲食店Xからの依頼で、
工事業者Yとのトラブルについて相談を受けたことがありました。

Xは内装工事をYに依頼したのですが、当初お願いしていた内装工事のほかに、
追加で造作カウンターを設置してもらうなど、グレードアップの作業をしてもらったということでした。

この追加工事について、Xは、Yのサービス=無料でやってもらったと思っていたのですが、
事後的にYからXに対して1,000万円の追加請求がきたとのことでした。

通常、追加工事代金を請求するためには、
追加分について新たに契約している必要がありますので、
発注書と受注書、それがなくても少なくとも追加の金額と作業内容が特定されている必要があります。

この事案では、それらが曖昧だったということであり、
訴訟になってもXが1,000万円の支払いを命じられる見込みはなさそうでした。

とはいっても、Xとしては、訴訟まで起こされたくないし、
Yの気持ちもわかるので、100万円くらいは支払ってもよいということでした。

そこで、XはYに対して、100万円だけ支払うからもう終わりにしてくれとお願いし、
Yもそれを了解したということで、さっさと100万円の振込みをしようとしていたのです。
その前に私に一応相談しに来たわけですが、私は、その支払いを一旦ストップしてもらいました。

Xが何の準備もしないまま100万円の支払いを済ませてしまえば、まず間違いなく、
Yから「残りの900万円を支払え」という交渉を持ちかけられるでしょう。

Xとしては、100万円ですべて終わると思って支払いをしたのに、
残りを請求するとはひどいではないかと抗議したいところでしょうが
、Yが残金を放棄したのかどうかは水掛け論です。

結局、追加の工事契約が成立していたかどうかについて、
交渉をさせられることになるのです。

では、どうするべきだったのでしょうか。

Xが100万円を支払う前に、
900万円の交渉を一発で終了させるような強い証拠を確保しておくのです。

できれば、和解書として、100万円の支払いをもって
その他の債権・債務はないことを確認するといった書面を交わしておけば完璧ですが、
なかなかそのような書面まではYが受け入れないことが通常です。

ですので、Yから、日時、工事内容を特定した追加工事の請求書を代金100万円とした上で発行してもらい
(メールでも代替し得るでしょう)、工事代金は100万円であるという証拠を固めておくのです。

これにより、Yは、実は工事代金1,000万円で契約していたのですなどという請求はできなくなるでしょう。

それでは、本日はここまでとします。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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