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弁護士堀鉄平の交渉の奥義!『相手を納得させる起承転結(ストーリー)』その②

(その①の続きです!)

論理的展開で矛先をかわす

しかし、私は、別の視点で交渉を進めました。

この事件の背景には、元請会社と下請会社の間にトラブルが存在していて、
元請会社が下請会社に下請代金を支払っていない事実がありました。
元請会社から工事の一部下請を請け負った下請会社が、
職人の手配に失敗して工事を遅延する、
杜撰な工事により一度施行した箇所から雨漏れがするなど、
施主である私の依頼者に相当な迷惑をかけていたようです。

そうしたところ、元請会社の営業マンは、施主に対して、
迷惑をかけて本当に申し訳ないと平謝りをすると同時に、
様々な追加工事を無料でやりますというセールストークで進めてしまっていたのです。

下請会社としては、当然、追加工事分も全額もらえると思って工事をしたのですが、
元請会社から支払いを拒絶され、怒ってしまったようです。

元請会社としても、さすがに一円も支払わないのは下請会社に申し訳ないとは思いつつも、
施主からは無料で受けてしまっており、困ってしまいました。

そこで、元請会社は施主に対する請求を、
下請会社に「こうなった原因はお宅のミスに起因するものなのだから、自分で施主に請求しなさい」と
債権譲渡したという事情があったのです。

元請の営業マンは、施主に文句を言われないように軽はずみに無料工事を請けてしまって、
しかもそれを下請会社に負担させようとしたところ、後になって下請から文句を言われれば、
今度は直接施主に請求してくれといった具合に、八方美人なわけです。

そこで、私は、下請会社に対して、
「この事件はとどのつまり、元請の営業マンが施主と下請会社の両方にいい顔をして、
自分たちは何の損も負わずに他人づらをしている」

「このまま訴訟になっても施主に対する請求が認められる可能性はないのだから、元請会社に請求をしなさい」
「そのための元請会社の落ち度(下請に相談せず勝手に無料で追加工事を受けてしまったことなど)を
立証する証拠収集には協力する」などと交渉し、下請会社の矛先を元請会社に変えることに成功しました。

単に、契約が成立しているか否かという紛争の一部だけを取り出すのではなく、
事案全体の背景を明確にし、不当に利益を得ている人から取り戻すように方向性を修正するなどすると、
交渉がうまくいくことはよくあります。

それでは、本日はここまでとします。
最後までお読みくださりありがとうございました。

※「本事例はフィクションです」

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