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相続法の改正について ~改正の概要と遺産分割前の預貯金払戻し制度の解説~ 弁護士 森 春輝 その1

1 はじめに

平成31年(2019年)は5月1日に元号の改定がありましたが,
相続法も大きな改正がありました。

相続法は昭和55年に大きな改正があって以降は,
平成11年の公正証書遺言の方式についての改正と
平成25年の嫡出でない子の相続分についての改正がなされていたのみでしたので,
約40年ぶりに大幅な見直しがされることになります。

相続法改正のため,「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が平成30年7月6日に成立し,
同月13日に公布されているところ,上記法令は,原則として2019年7月1日に施行されました
(自筆証書遺言の方式緩和については2019年1月13日にすでに施行済み,
配偶者居住権等は2020年4月1日施行予定。)。

そこで,今回は,相続法改正の概要を解説し,
そのなかでも近時の最高裁判所の決定を受けて新設された
遺産分割前の預貯金の払戻し制度に関して少し詳しく解説していきます。

2 相続法改正の概要

今回の相続法改正による改正点の概要は以下のとおりです。

(1)配偶者の居住権を保護するための方策
① 配偶者短期居住権の新設
(民法1037条~1041条)

配偶者が遺産である建物に相続開始の時に無償で住んでいた場合,
遺産分割により建物の帰属が確定してから6か月等の期間は無償で
その建物を使用することができる権利(配偶者短期居住権)の新設。

② 配偶者居住権の新設
(民法1028条~1036条)

配偶者が住んでいる建物を対象として,
配偶者に終身または一定期間その使用を認める権利(配偶者居住権)を新設し,
遺産分割等において配偶者に配偶者居住権を取得させることができるように改正。

(2)遺産分割等に関する見直し
① 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定制度)
(民法903条4項)

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用の不動産の遺贈又は
贈与がされたときは持戻し(遺贈又は贈与された財産も遺産として相続分を計算しなおすこと。)
免除の意思表示があったものと推定するように改正。

② 遺産分割前の預貯金の払戻し制度の新設等
(民法909条の2)

相続された預貯金債権について,
生活費や葬儀費用の支払い,
相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう,
遺産分割前にもその一部の払戻しが受けられる制度の新設。

③ 遺産分割前に遺産を処分した場合の遺産の範囲についての定め
(民法906条の2)
相続開始後に共同相続人の一人又は数人が遺産を処分した場合,
その財産は遺産分割の対象からはずれてしまい遺産分割手続のなかで
一体的な解決を図ることができないため,
かかる不都合を解決するために,
処分された財産を遺産分割の対象とできる条項を新設。

(3)遺言制度に関する見直し
① 自筆証書遺言の方式緩和
(2019年1月13日に施行済み)(民法968条)

自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できるように改正。

② 遺言執行者の権限の明確化
(民法1007条,1012条~1016条)

遺言執行者の相続人に対する遺言内容の通知義務の明文化,
遺言執行者の権利義務が遺言の内容を実現するためのものであることの明文化,
遺言執行者がある場合は遺言執行者のみが遺贈の履行権限を有することの明文化等。

(4)遺留分制度に関する見直し
遺留分が侵害された場合の遺留分減殺請求権を廃止し,
遺留分侵害額請求権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずるものとし,
また,受遺者等の請求により金銭債務の全部または一部の支払いについて
裁判所が期限を与えることができるように改正。(民法1042条~1049条)

(5)相続の効力等に関する見直し
相続させる旨の遺言等により承継された財産については
登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされていた
現行法の規律を見直し,法定相続分を超える権利の承継については
対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないように改正。(民法899条の2)

(6)相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
相続人以外の被相続人の親族が,被相続人の療養看護等を行った場合には,
一定の要件のもとで,相続人に対して金銭請求をすることができる制度
(特別の寄与)の新設。(民法1050条)

 

(その2に続きます!)

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