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”定年後の賃金引き下げについて” その① 弁護士 齋藤 拓

1 はじめに

日本は人生100年時代を迎えようとしています。

政府は,今年5月16日,「人生100年時代構想会議」において,
今後,継続雇用年齢を65歳以上に引き上げる環境整備を進めると表明しました。

一方で,最高裁判所は,同年6月1日,定年後に会社と有期労働契約を締結した労働者が,
仕事内容が定年前と同じであるにもかかわらず,
賃金を約2割引き下げられたのは不当であると訴えていた裁判において,
最高裁判所として初めての判断を示しました。

定年後に賃金を全体として一定程度引き下げることは容認したものの,
手当ての一部を支給しないことは違法であるとする判断を示したのです。

今国会に提出された働き方改革関連法案の柱の一つである
「同一労働同一賃金」への流れが進むことが必至である状況にもあることから,
企業は対応を迫られています。

そこで,今回は定年後の賃金引下げについてご説明いたします。

2 定年後の賃金引下げに関するルール

定年制とは,労働者が一定の年齢に達したときに労働契約が終了する制度をいいます。

しかし,60歳の定年制を定めている企業においては,
定年を迎えた労働者が引き続き会社で働きたいと申し出た場合,
その申出を拒否することは原則としてできません。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年齢者雇用安定法」といいます。)は,
65歳未満の定年を定めている事業者に対し,

①定年の引上げ
②継続雇用制度(高年齢者が希望するときは原則としてその定年後も引き続き雇用する制度)の導入
③定年の定めの廃止

のいずれかの措置(以下「継続雇用措置」といいます。)を講じることを求めています 。

現在,多くの企業は,
①から③の継続雇用措置のうち,②継続雇用制度を採用しています。

しかし,②継続雇用制度の下においても,
定年後の継続雇用の希望を会社が拒否するためには,
定年前の従業員を解雇する場合と同じように,
心身の故障等により従業員としての職責を果たすことができないなど,
非常に限られた合理的な事由が必要となることには注意が必要です。

そして,②継続雇用制度に基づき,定年後に再雇用する労働者の賃金を定年前より引き下げる場合には,
定年後の賃金に関する規程を就業規則等で定め,
同規程に基づき,引き下げられた賃金を支給することになります。

多くの企業においては,定年前の正社員の賃金と,
継続雇用制度における賃金との間に差異を設けています。

しかし,この差異については,
期間の定めの有無によって労働条件に差異を設けることを規制する労働契約法第20条が適用されるため,
「不合理と認められるものであってはならない」ことになります。

6月1日に最高裁判所がこの差異の合理性についての判断を下すまで,
労働契約法第20条を巡る裁判が各地で相次いでいましたが,
これまで地方裁判所,高等裁判所段階で,結論が分かれていました。

※ ただし,平成37年3月31日までの間は,旧高年齢者雇用安定法に基づき,
定年後の継続雇用者を事業場の労使協定の定める基準により選別できる継続雇用措置を
平成25年4月1日より前に導入していた企業については,
老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を上回る労働者(同年金が支給される労働者)に対して,
同措置が引き続き認められます。

(その②に続きます!)

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