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『販売店契約で注意すべき独占禁止法上の規制』 その2 弁護士 森 春輝 

(その1の続きです!)

3 排他条件付取引

販売店契約では,メーカーが販売店に対し,
自社の商品の販売に集中してもらいたいため,
競合品の取扱いを制限する条項を設けることがあります。

このときに注意しなければならないのが排他条件付取引です。

排他条件付取引とは,
「不当に,相手方が競争者と取引しないことを条件として当該相手方と取引し,
競争者の取引の機会を減少させるおそれがあること」(一般指定第11項)をいいます。

競争者と取引させないことを条件とするだけでは原則として違法になりませんが,
それが競争者の取引の機会を減少させる,
すなわち競争者を市場から排除するおそれのある場合には,
排他条件付取引として違法になります。

仮に,商品の市場シェアが高いメーカーが
多数の販売店とそのような条件を付けて取引をしてしまうと,
競業他社は取引先となる販売店を探すことが困難になり,
事実上市場から排除されてしまいます。

しかし,そもそも市場シェアが低いメーカーであれば,
販売店側にそのメーカーの商品だけを扱うメリットはないわけですから,
多数の販売店と競業他社の商品を扱わない条件をつけて
取引をすることはできないでしょう。

また,市場シェアが高くても,
そのような条件をつけて取引する販売店が少ないのであれば,
競業他社もその他の販売店との間で取引をすることができるため,
競業他社の取引の機会が減少するおそれはありません。

このように,市場において有力な立場にある者,
具体的には,市場シェアが20%を超える事業者がこのような条件を付けて取引を行い,
競業他社が他の販売店を見つけることが容易ではなくなるおそれがある場合には,
不当な取引として違法となります。

そのため,商品について市場シェアが高い場合には,
上記条項を設けることに注意が必要です。

4 拘束条件付取引

販売店契約では,販売店同士の競合を避けるため販売地域を指定したり,
商品の品質維持等の観点から販売方法を定めたりすることがあります。

ここで注意すべきなのが,拘束条件付取引です。

拘束条件付取引は,取引の相手方の事業活動を不当に拘束する条件を付ける取引のことをいいます。
契約自由の原則から,原則として取引に拘束をつけることは自由です。

そのため,相手方を何らか拘束する条件が付いていても,原則として違法とはなりません。
しかし,それが自由競争を害するような不当なものである場合に例外的に違法となります。

再販売価格の拘束と排他条件付取引以外の,不当に競業他社を排除したり,
販売店間の競争を制限したりする相手方の事業活動を不当に拘束する条件のついた取引はすべてこの類型に当たります。

販売地域の制限については,販売店側がその販売地域外への積極的な販売をすることを制限する限りでは,
顧客の側からは当該販売店を選択できるため,違法にはなりません。

しかし,販売地域外の顧客から当該販売店に商品の販売を求めた場合でもその販売を禁止する場合は,
顧客は販売地域内の販売店しか選ぶことができなくなります。

そうすると,当該商品について販売地域内の競争はなくなってしまうため,
それにより当該商品の価格が維持されるおそれある場合には,違法となります。

販売方法の制限についても,再販売価格の維持が目的ではなく,
それが商品の安全性の確保や,品質の保持,商標の信用の維持等,合理的な理由が認められ,
他の販売店にも同等の条件が付けられている場合は不当な拘束に当たらず,違法とはなりません。

合理的な理由があるかどうかは公正取引委員会や裁判所が判断することになりますので,
これらの機関に「合理的な理由」と認めてもらえる理由になっているのかどうかを慎重に見極める必要があります。

5 最後に

このような規制に違反すると,排除措置命令といって公正取引委員会から違反行為の差し止めや
違反行為の排除をするために必要な措置を命ぜられたり(独占禁止法第20条),
取引の相手方から損害賠償(同法第25条第1項)を請求されたりする可能性もあります。

不公正な取引方法の規制に違反したことによる
損害賠償は過失がなくてもその責任を免れることはできません(同条第2項)。

そのため,販売店契約を締結する際は,これらの規制によく注意することが大切です。

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