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弁護士堀鉄平の交渉の奥義!「斬って勝つのではない、勝ってから斬るのである」その2 

(その1の続きです!)

ところが、私はこのAへの請求が認められるかどうかは微妙であると考えました。
というのも、損害賠償を請求するためには、違法な行為があって、
その行為と損害との間に因果関係があることが必要だからです。

仮に会社があっさりとBへの発注を認めてしまっては、
Aが独断で発注の約束をしたものの、会社は追認したのだとか、
もともと会社も発注するつもりだったのだから因果関係はないといった認定になりかねないからです。

そこで、私は、会社に対して、B社に対して以下のような対応をするよう助言しました。

すなわち、まずはB社に対して、「発注の約束は権限のないAが取締役会の決議もなく
独断で行ったことである。当社の財務状況からしてこの額の発注などできる状態ではない。
御社もAに発注権限がないことは気付いていたのではないか。」として、
一旦は拒絶すること。

次に、その後1週間くらいの間に、B社からのクレームや今後の取引中断を示唆する
申し出をあえて受け続けて、それを証拠化すること。

最後に、「先に発注を拒絶しましたが、御社との長年の取引の経緯や、
当社元役員の軽率な発言に対する会社の監督不行き届きも考慮し、
発注を認めざるを得ません」として、ストーリーをつくった上で発注を認めること。

この3点を助言したのです(なお、表見代表取締役という会社法354条の規定もありますが、
ここでは考慮しない前提とさせていただきました)。

このようなストーリーを作ることで、会社は、Aの軽率な発言によって、
やむを得ずB社に多額の発注をせざるを得なかったという武器を持つことになりました。

ここまで準備できたら、後は簡単です。

Aとの交渉では、Aの軽率な行為で会社は一大事になっていることを前面に主張し、
優位な和解に持ち込むことに成功したのです。

もし、このようなストーリー作りをしないで、Aに発注の件を責めてみても、
「いや、会社もあっさり追認しているのですから、
発注が妥当と判断したのでしょう」と逃げられてしまったことでしょう。

このように、交渉事では、交渉に入る前に入念な準備をして、
勝利している状態を整えてから交渉を開始するということが鉄則です。

交渉は、勝ってから斬れということを覚えておくとよいです。

それでは今回はこのあたりで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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